- ライバーの教科書 -
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2025.12.10
知識・ノウハウ
「辞めたい」と思ったその直感が正解です。不当な違約金や脅しに屈する必要は1ミリもありません。元トップライバーであり現役事務所代表の私が、「悪質事務所が最も嫌がる法的手法」と「相手を黙らせる交渉術」のすべてを、あなたを守るために公開します。
この記事を読めば、以下の3つのことが完全に理解できます。
あなたが今、スマートフォンの画面を見つめながら感じている恐怖は、痛いほどよくわかります。「辞めたい」と伝えた瞬間にマネージャーの態度が急変したり、「契約書を読んだのか」「違約金がかかるぞ」と高圧的に言われたりしていませんか?
まず、深呼吸をしてください。そして、これだけは覚えておいてください。その恐怖は、事務所側があなたをコントロールするために意図的に作り出した幻想です。
なぜ彼らはそこまでして、辞めたがっているライバーを必死に引き止めようとするのでしょうか? 彼らの手口と心理を知ることで、あなたは冷静さを取り戻すことができます。
結論から言えば、彼らが「違約金」や「裁判」という言葉を使うのは、それが最も手っ取り早く、コストのかからない「脅しの道具」だからです。
実際に裁判を起こして数百万円の損害賠償を請求するには、弁護士費用や印紙代といったコストがかかる上に、裁判所に対して「具体的な損害額」を証明する必要があります。まだ稼ぎの少ない駆け出しライバー相手に裁判を起こしたところで、事務所側にとっては赤字になる可能性が極めて高いのです。
しかし、法律知識のない若いライバーに対して「法的措置をとる」と言えば、多くの人が萎縮して「辞めるのを諦めます…」と言いなりになります。彼らはそれを知っているのです。つまり、あなたを法的に訴える気などさらさらなく、単に「辞められると困る(搾取できなくなる)」から吠えているだけなのです。
Traum代表・島袋の見解: 悪質業者の手口

私が見てきた悪質業者は、ライバーが稼げなくなった瞬間ポイ捨てするくせに、ライバーから辞めると言い出すと「損害賠償」と騒ぎます。これは経営能力のなさを棚に上げた、ただの八つ当たりです。
彼らは「法律を知らない若者」をカモにしていますが、逆に「法律を知っているライバー」や「弁護士がついたライバー」を極端に恐れます。なぜなら、自分たちのやっていることが法的にグレー、あるいは真っ黒であることを自覚しているからです。だからこそ、この記事で知識武装してください。彼らの脅しは、知識の前では無力です。
「でも、契約書にハンコを押しちゃったし…」と不安になる気持ちもわかります。確かに、契約書は当事者間の約束事として重要な意味を持ちます。
しかし、日本には「法律(民法や消費者契約法など)に反する契約内容は無効である」という強力な大原則があります。これを「強行法規」や「公序良俗」といいます。
例えば、「奴隷として一生働く」という契約書にサインしても無効ですよね? それと同じで、ライバーの権利を著しく不当に制限するような契約条項は、たとえサインしていても法的な効力を持たないケースが多々あります。
「契約書に書いてあるから絶対だ」というのは、法律を知らない人を騙すための常套句です。これから紹介する法的武器を使えば、その理不尽な契約書を紙切れ同然に無効化することも十分に可能です。
ここからは、感情論ではなく「法律論」で戦うための具体的な武器を授けます。
相手が「契約書」という盾を出してくるなら、こちらは「民法」や「消費者契約法」という最強の矛で突き崩すのみです。以下の3つの武器を理解していれば、どんなに高圧的なマネージャーも黙らざるを得なくなります。
多くのライバー事務所との契約は、法律上「準委任契約」または「有期雇用契約」に該当します。「契約期間は1年間」などと期間が決まっている場合、原則として期間途中での解約は難しいとされています。
しかし、民法第628条には、ライバーを守るための非常に重要な例外規定があります。
民法第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
この「やむを得ない事由」とは、具体的に以下のようなケースを指します。
もしあなたが「マネージャーが怖くて配信できない」「精神的に限界」と感じているなら、それは立派な「やむを得ない事由」です。この条文を根拠にすれば、契約期間中であっても「直ちに」辞める権利が発生します。違約金を払う必要などありません。
次に、最も恐ろしい「違約金50万円」「100万円」といった請求についてです。
ライバー契約において、事務所側が個人のライバーに対して法外な違約金を設定することは、消費者契約法第9条または民法第90条(公序良俗)により無効となる可能性が高いです。
この法律では、「契約解除に伴う損害賠償の額を予定する条項」のうち、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分」は無効とすると定められています。
わかりやすく言えば、あなたが辞めたことによって事務所が実際に被る損害(せいぜい数万円の実費程度)を超えて、「一律50万円払え」というような取り決めは無効だということです。
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」という条文です。
例えば、「辞めたら一生芸能活動禁止」「辞めるなら罰金1000万円」といった、個人の職業選択の自由や経済活動を著しく不当に縛る契約は、この条文によって無効と判断されます。
もしあなたが未成年(18歳未満)で、親権者(親)の同意を得ずに契約書にサインをしてしまった場合、話はもっと簡単になります。
未成年者取消権(民法第5条)を行使すれば、その契約は「最初からなかったこと」にできます。違約金も、契約期間も、すべて無効です。「親の同意書を偽造した」などの詐術を用いていない限り、この権利は最強のカードとなります。
親にバレたくないからといって、この権利を使わずに悩んでいる未成年の方へ。悪質事務所と縁を切るためには、勇気を出して親に相談し、親から事務所へ「未成年者取消権を行使します」と連絡してもらうのが一番の近道です。
以下に、あなたの状況に合わせてどの武器を使うべきかを判断するフローチャートを用意しました。
契約解除の根拠判定フローチャート

理論はわかりました。では、具体的にどう動けばいいのでしょうか?
ここでは、私の経験に基づいた、最も安全かつ確実に退所するためのステップを解説します。感情的にならず、淡々と事務的に進めるのがコツです。
退所を切り出す前に、まずは自分の身を守るための「武器(証拠)」を集めてください。相手が「そんなこと言っていない」「契約違反だ」と言い逃れできないようにするためです。
保存すべき証拠リスト:
これらの証拠は、万が一弁護士や消費者センターに相談することになった際にも役立ちます。
準備ができたら、いよいよ退所の連絡を入れます。ここで重要なのは、「相談」ではなく「通告(通知)」をすることです。
「辞めさせてください」とお願いすると、相手は「説得できる」と思って交渉してきます。「辞めます」と決定事項として伝えるのがポイントです。また、電話は言った言わないの水掛け論になるため、必ずLINEやメールなどの「形に残る手段」で行ってください。
以下のテンプレートは、法的根拠(民法628条)を盛り込みつつ、相手が反論しにくいように構成しています。
お疲れ様です。○○(自分の名前)です。
突然のご連絡となり申し訳ありませんが、本日付で貴社とのマネジメント契約を解除させていただきます。
理由としましては、以下の通りです。
これらは民法第628条における「やむを得ない事由」に該当すると判断しております。
つきましては、本通知をもって契約終了とさせていただきたく存じます。
本件に関するご返信は、記録を残すため、すべて本LINEまたはメール等の書面にてお願いいたします。電話や直接の呼び出しには応じられませんのでご了承ください。これまでお世話になり、ありがとうございました。
以上、よろしくお願いいたします。
[島袋の解説: この文章のポイント]

このテンプレートの肝は、「民法628条」という法律用語を出して「私は勉強していますよ」と匂わせる点と、「書面で」と釘を刺して相手の得意技である「電話での丸め込み・恫喝」を封じる点にあります。これを送って既読がついた時点で、法的な意思表示は完了しています。
LINEを送っても無視されたり、「認めない、家に行くぞ」などと脅されたりした場合の最終兵器が「内容証明郵便」です。
これは郵便局が「いつ、誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったか」を公的に証明してくれるサービスです。
事務所側からすれば、内容証明が届くということは「こいつは本気だ」「バックに弁護士がいるかもしれない」という強烈なプレッシャーになります。
内容証明の効果:
書き方には決まりがありますが、今はインターネットで行政書士に依頼して数万円で作成・送付してもらうことも可能です。自分一人では限界だと感じたら、迷わずこのカードを切ってください。
退所を決意した時に直面する、具体的なトラブルや疑問について、一問一答形式で回答します。
A. 事務所のアカウント管理形態によりますが、「事務所縛り」の場合は諦める覚悟が必要です。
TikTok LIVEやPocochaなどのプラットフォームにおいて、アカウントが「事務所名義」で登録されている場合や、事務所の管理下にある(事務所紐付け)場合、退所と同時にアカウントが停止・削除されたり、ログインできなくされたりするケースは非常に多いです。
「せっかくフォロワーを増やしたのに…」と思うかもしれませんが、ここが運命の分かれ道です。
[元トップライバー島袋の視点: アカウントへの執着を捨てろ]

はっきり言いますが、悪質事務所に紐付いたアカウントなんて、今後あなたの足枷にしかなりません。
違約金を払わずに辞められるなら、アカウントの一つや二つ、安い手切れ金だと思って捨ててください。私が投げ銭総額1億円のプレイヤーになれたのは、過去のしがらみを断ち切って環境を変えることを恐れなかったからです。
応援してくれる本当のファンは、アカウントではなく「あなた自身」についています。新しいアカウントで「心機一転、ゼロから頑張ります!」と言えば、彼らは必ずついてきてくれます。むしろ、そのストーリーが新たなファンを呼ぶきっかけにさえなるのです。
A.明白な違法行為です。労働対価(成果報酬)は契約解除とは無関係に支払われる義務があります。
「急に辞めたから給料は払わない」「違約金と相殺する」というのは、悪質事務所の常套手段ですが、法的には通りません。あなたが稼働した分の報酬を受け取る権利は、契約解除によって消滅しません。
対処法:
「報酬の未払いは債務不履行にあたります。期日までに支払われない場合、少額訴訟の手続きを行う準備があります。また、労働基準監督署(※雇用契約の場合)や公的機関への通報も検討します」と、冷静に伝えてください。金額が数万円〜数十万円程度であれば、少額訴訟は自分一人でも簡単に行えます。
A. 範囲が広すぎる制限は「職業選択の自由」の侵害として無効になる可能性が高いです。
契約書に「退所後○ヶ月はライバー活動をしてはならない」という条項(競業避止義務)がある場合があります。しかし、芸能・ライバー業界において、この条項が裁判で有効と認められるハードルは非常に高いです。
今の事務所を抜け出せたとしても、次に入った事務所がまた悪質だったら意味がありません。
あなたが二度と同じ失敗を繰り返さないよう、私自身が事務所運営で大切にしている視点も交えながら、ホワイトな事務所を見抜くための「魔法の質問」を伝授します。
「還元率100%!」「地域No.1の高待遇!」
SNSのスカウトDMには、そんな甘い言葉が並んでいませんか?
しかし、考えてみてください。事務所もビジネスです。利益を出さなければ運営できません。還元率100%でどうやってスタッフの給料を払うのでしょうか?
その裏には必ず「カラクリ」があります。
数字のインパクトに騙されないでください。「高い還元率」よりも「適正なサポート」を提供してくれる事務所こそが、結果的にあなたの収益を最大化してくれます。
次の事務所との面談では、以下の3つの質問を必ずぶつけてください。まともな事務所なら即答できますが、怪しい事務所は言葉を濁します。
[Traum代表・島袋の約束: 本当のサポートとは]

私の運営するTraumでは、入り口の面談で「出口(辞め方)」の話もしっかりします。「合わなかったら、規定の手続きを踏めばいつでも辞められる」と伝えています。
なぜなら、契約でガチガチに縛り付けないと人が居着かないような事務所には、何の魅力もないからです。
本当のサポートとは、ライバーが「辞めたくない、ここで頑張りたい」と自発的に思える環境を作ること。私はそう信じて事務所を運営しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
法律の話や具体的な手順を知って、少しは肩の荷が下りたでしょうか?
事務所を辞めることは、決して「逃げ」ではありません。
それは、あなたがトップライバーになるために必要な環境を手に入れるための、前向きで戦略的な「撤退」です。泥船に乗ったまま沈む必要はありません。
今日、勇気を出して退所通知を送れば、1ヶ月後のあなたはきっと、新しい環境で、心からの笑顔でリスナーと向き合えているはずです。その未来を掴み取る権利が、あなたにはあります。
最後に、今日から始めるアクションプランをチェックリストにまとめました。
退所アクション・チェックリスト
準備
☑ 契約書の控えを探す・見直す
☑ パワハラLINEや脅しのDMをスクショ保存する
実行
☑ 記事内のテンプレートを使って退所通知を作成する。
☑ 担当者にLINEまたはメールで送信する
未来
☑ アカウントが消える覚悟を決め、新しい活動準備を始める
どうしても怖くて動けない・解決できない時の駆け込み寺
「自分一人ではマネージャーに言い返せない」
「契約書の内容が複雑すぎて判断できない」
もしそんな不安で押しつぶされそうなら、一人で抱え込まずに相談してください。
私、島袋が代表を務めるTraumでは、所属に関する勧誘は一切抜きで、あなたの現状を整理するための無料相談を受け付けています。
法律の専門家ではありませんが、業界の裏表を知り尽くしたプロとして、「今の事務所をどう抜けるのがベストか」を一緒に考えます。